食品用乾燥剤等のテスト結果(2/3) |
【3月16日】のテスト結果を3回に分けて掲載しています。
(2) 食品用乾燥剤等の性能等
① 基本的な性能等
表2に示すとおり、基本的な性能等について、情報収集した内容の要点をまとめてみました。
② 食品100gおよび食品500円当たりの乾燥剤等使用量
表3に示すとおり、食品100g当たりの乾燥剤等使用量と食品500円当たりの乾燥剤等使用量を調べ、乾燥剤等の種類ごとに性能や使用用途等を比較してみました。
ア 生石灰乾燥剤(改良型含む)の場合(No.1~No.12の12品)
食品100g当たりの生石灰乾燥剤は6.4g~209gで、平均60.5gでした。最も使用量が少なかったのはNo.5の焼き菓子で、最も多かったのはNo.12の味付け海苔でした。
食品500円当たりでは、10.2g~81.8gで、平均32.3gでした。最も少なかったのはNo.5の焼き菓子で、最も多かったのはNo.10の焼き海苔でした。
海苔類には、他の食品に比べて、乾燥剤が特に多く必要としていることがわかりました。
イ シリカゲル乾燥剤(クレイ乾燥剤含む)の場合(No.13~No.18の6品)
食品100g当たりのシリカゲル等乾燥剤は1.4g~8.9gで、平均3.9gでした。最も使用量が少なかったのはNo.13の焼き菓子で、最も多かったのがNo.17の栄養補助食品でした。
食品500円当たりでは0.4g~5.6gで、平均3.0gでした。最も少なかったのはNo.17、18の健康補助食品や栄養補助食品で、最も多かったのはNo.14の乾燥果実でした。
生石灰乾燥剤と比較すると、食品100g当たりの使用量で生石灰が60.5gに対し、シリカゲルは3.9gでした。
これは、生石灰の方が価格が安く、比較的吸湿量(湿気を取る容量)が大きいなどの点から、大量の乾燥剤を必要とする味付け海苔等に使用されていたためと考えられます。
ただし、シリカゲルは、吸湿速度が速いことや素材そのものに危険性が少ないこと、素材の形状が変わらないことなどの理由で食品の種類や用途等によって使われていると思われます。
ウ 脱酸素剤の場合(No.19~No.28の10品)
食品100g当たりの脱酸素剤は0.6g~8.1gで、平均4.1gでした。最も使用量が少なかったのはNo.21の黒豆で、最も多かったのがNo.24の乾燥食肉製品でした。
食品500円当たりでは2.1g~12.3gで、平均5.1gでした。最も少なかったのはNo.19の木の実とNo.27のいかすみさきいかで、最も多かったのはNo.23の昆布加工品でした。
エ 鮮度保持剤の場合(No.29、No.30の2品)
食品100g当たりの鮮度保持剤は0.8g~1.1gで、平均1.0gでした。
食品500円当たりでは2.3g~3.3gで、平均2.8gでした。
栗まんじゅうや羊羹などに入っていました。
(3) 安全性
① 生石灰乾燥剤に水を加えた時の温度変化とpH
ア 生石灰乾燥剤に水を加えた時の温度変化
賞味期限の十分ある食品から取り出した生石灰乾燥剤20gに水5ml(生石灰割合80%)を加えると急激に温度が上がり、最高温度約160℃になりましたが、生石灰20gに水80ml(生石灰割合20%)では最高温度が60℃程度で、しかも緩やかな温度上昇でした。
このことから、比較的少量の水で高温になりやすく、生石灰乾燥剤の袋を破ってなめたり、無造作にゴミ箱等に捨てると火傷や火災のおそれがあると考えられました。
イ 生石灰乾燥剤のpH
賞味期限の十分ある食品から取り出した生石灰乾燥剤10gに水190ml(生石灰割合5%)を加えてpH測定をした結果、pH12であり、強アルカリ性(pH11超)に該当し、目や皮膚に付着したままにすると重大な危害を受けることになると考えられました。
ウ 改良型生石灰乾燥剤の温度上昇とpH
生石灰の
粒子表面を撥水加工し、化学反応が比較的緩やかに進むよう改良した「I・C乾燥剤」と表示してあるものについて、温度上昇はほとんどありませんでした。
pHは、最初pH8程度の弱アルカリ性を示し、約5分でpH11に達し、さらに約10分放置するとpH12に達し、通常の生石灰と同様に強アルカリ性を示しました。
② 脱酸素剤・鮮度保持剤の電子レンジテスト
取扱注意事項に「電子レンジ不可」と表示されていることから、 表4に示すとおり、テストを行いました。
その結果、脱酸素剤は発火し、写真のように焦げてしまったものや、包装内が膨れ上がったりしました。鮮度保持剤も膨れ上がるなどの異常が見られました。