「勉強会」フライパンのテストと意識調査(NO1) |
★ 石川県消費生活支援センター・学習支援課のご指導を頂きました。
★ テスト結果を4回に分けて掲載しています。
1 趣旨
フライパンは、従来、炒め物や焼き物がほとんどで、素材や表面塗膜加工も限られたものでしたが、最近は様々な素材や表面塗膜加工のものが販売され、多様な調理方法で利用されるようになってきています。特に、若い世代では調理はほとんどフライパンだけを使用し、「鍋持たず」とも言われています。
一方で、購入後すぐにフライパンの皮膜が剥がれたり、汚れが目立ってきたり、焦げ付くようになったとか、表面塗膜加工の安全性や耐久性は大丈夫かなどの声も聞かれます。
このため、フライパンの表示や性能、安全性、使用性等のテストを行うとともに、意識調査も行い、フライパンの購入時や使用時等の留意点をまとめてみました。
2 テスト期間
平成28年9月~平成29年2月
県内のホームセンター、スーパーマーケット等で購入した10銘柄
表1 テスト対象品の表示事項等一覧
フライパンは、家庭用品品質表示法の規制対象ではありませんが、同法雑貨工業品品質表示規程(以下「表示規程」という。)の「なべ」の基準等に準じて、または参考にして表示事項、構造、加熱性能、安全性、使用性等のテストおよび意識調査を行いました。
5 テスト結果
(1) 表示事項等
フライパンの表示は任意ですが、「なべ」の表示規程に準ずると「表面加工」、「材料の種類」、「寸法」、「取扱い上の注意」、「表示者名等の付記」は全銘柄で表示されていました。
「満水容量」については、2銘柄(No.7、10)でのみ表示されていました。
また、第三者認証機関による「SGマーク」※も任意ですが、2銘柄(No.6、9)で表示されていました。
※「SGマーク」
① 「取扱い上の注意」の主な内容
各銘柄の本体および取扱説明書等に記載されている「取扱い上の注意」について、フライパンとして、特に大切と思われる主な内容を以下に列記しました。
ア 使用前
「取っ手やつまみの取付けに破損やガタツキなどがないか安全を確認する。」、「取扱説明書をよく読んで正しく使用し、取扱説明書は大切に保管する。」、「加熱器具(電磁調理器(以下「IH」という。)、ガスコンロ等)の取扱説明書をよく確認の上正しく使用する。」等が表示されていました。
イ 使用時等
「熱源を入れるとき「中」以下で火力の調節を行う。」、「効率よく加熱するため、鍋の底に付着している水滴はきれいに拭き取る。」、「鍋底に変形やガタつき等が生じた場合は使用しない。」、「(セラミック塗膜の場合、)塗膜面に硬いもの(金属、陶器等)が当たるとチッピング(小片の欠け)する、洗浄や保管時に気を付ける。」等が表示されていました。
② 使用可能・不可機器の表示
8銘柄がIH使用可能で、ガスコンロ等の加熱調理器具にも使用可能と表示されていました。2銘柄(No.1、3)はガスコンロ専用と表示されていました。
また、どの銘柄も電子レンジやオーブン、食器洗浄機、ストーブは、使用不可としていました。この理由は、熱やマイクロ波の影響、フライパンの形状、フライパンからの吹きこぼれ等を考慮しての判断と考えられました。
(2) 構造等(表2参照)
① 寸法(最大内径)
表示24cmの7銘柄(No.1~4、No.6~8)が23.5~24.0cm、表示26cmの3銘柄(No.5、9、10)が25.8~26.5cmでした。
② 底中央部厚さ
1.5~6.3mmであり、No.9(鉄)が最も薄く、No.10(ステンレス鋼)が最も厚かった。
③ 重量
519~1,453gで、No.3(アルミニウム合金)が最も軽く、No.10(ステンレス鋼)が最も重かった。
④ 深さ
4.0~6.9cmで、No.7が最も浅く、No.6が最も深かった。
⑤ 底面(天板側)の直径
15.7~22.9cmで、No.6が最も短く、No.10が最も長かった。
⑥ 底面の磁性(永久磁石の吸着力)
No.1、3の2銘柄は全く磁性がなく、IHでは使用できないタイプでした。他の8銘柄は磁性がありましたが、特に磁性が強かったのはNo.5、9、10の3銘柄でした。
⑦ 底面(天板側)の材料の種類
携帯型蛍光X線分析装置で調べた結果、No.1とNo.3の2銘柄がアルミニウム合金で、No.9が鉄、他の7銘柄はステンレス鋼でした。
⑧ 満水容量
1.6~3.3ℓで、最も容量の少ないのがNo.5、8で、最も多いのがNo.10でした。
なお、満水容量表示のあったNo.7、10の2銘柄は、ほぼ表示どおりでした。
表2 フライパンの構造等一覧(実測値)
※フライパン底面に対する永久磁石の吸着力の程度:○強、△やや弱、×なし
注:テスト結果を4回に分けて掲載しています。 NO2へ続きます。