「勉強会」フライパンのテストと意識調査(NO2) |
(3) 加熱性能
フライパンの加熱性能を比較するため、IHと都市ガスコンロで加熱性能(湯を沸かすのに要する消費電力量および時間)を調べました。
① IHで500mℓの湯を沸かすのに要する消費電力量
図1に示すとおり、湯500mℓを沸かすのに要する消費電力量は、100V用のIH(1400W「強」)では、74~101Whと銘柄間の差は約1.4倍で、平均値は83Whでした。
No.9が最も消費電力が少なく、No.6が最も消費電力が多かった。
なお、No.1、3の2銘柄はIHでは使用不可のためテスト対象から外しました。
② IHで500mℓの湯を沸かすのに要する時間
No.5、9、10の磁性の強い銘柄が沸く時間が比較的短く、No.6のように底面の直径が短く、張り底が網状の銘柄は、沸く時間が長くなる傾向が見られました。
③ 都市ガスコンロで500mℓの湯を沸かすのに要する時間
(4) 使用時の安全性
県民の意識調査で、フライパンのコーティングに使われているフッ素樹脂の安全性について問われていました。
フッ素樹脂自体は、各メーカーでは食品衛生法の食品、添加物等の規格基準に適合しているとしており、第三者機関(一般財団法人製品安全協会)が定めたSG基準にも入っています。
しかしながら、空焚きなど高温状態で熱分解した場合、有毒ガスが発生し、安全性に問題が生ずることが考えられるため、情報収集しました。
その結果、神奈川県のホームページで調査結果概要が掲載されていましたのでその要点を以下に紹介します。(詳細は、神奈川県のホームページ「フッ素樹脂加工したフライパンのテスト」でご確認ください。)
<調査結果>
① フライパンの注意表示内容
○ 空焚きは絶対にしないでください。フッ素樹脂塗膜の損傷、取っ手の損傷、本体の変形や溶解等によるやけどや火災の原因となります。なお、調理前に予熱する場合は中火で1分以内にしてください。
○ 熱した本体に冷水をかける等急激な温度変化を与えないで下さい。変形の原因となります。
○ 火力を中火以下でご使用になるとフッ素樹脂塗膜が長持ちします。
② フッ素樹脂塗膜の耐熱について
カセットコンロによりフライパンを加熱すると5分で370℃に達し、フッ素樹脂塗膜は400℃を超えると熱分解が起こった。
③ 空焚きによるフッ素樹脂からのガス発生について
フライパンの空焚きによって423℃でガスの発生が認められた。ガスの発生は目視では感知できないことが判明した。
④ フッ素樹脂から発生したガスについて
(注1)CAS:アメリカ化学会(Chemical Abstracts Service)、当該化学物質は番号を付してCASに登録されている。
(注2)MSDS:製品安全データシート(Material Safety Data Sheet)、指定化学物質等の性状
及び取扱いに関する情報。
<消費者への注意事項>
通常調理用に使用する場合は、フライパンに食材が入っているため、強度の高温にはならないものと推定される。今回は、誤って空焚きした場合を想定して、テストを実施した。消費者が注意することは以下のとおり。
○ フライパンの空焚きをしないように気をつける。
○ 水分を飛ばすためなどの空焚きは慎む。
○ 空焚き状態となってしまったら、気づいた時点ですぐに火を止め、窓をあけて、空気を入れ替える。
○ 体に異常を感じた場合は、医師に相談する。
★ テスト結果を4回に分けて掲載しています。 NO3へ続きます。