2019年 04月 05日
勉強会 |
日 時:3月20日(水)10:00~14:10
場 所:石川県消費生活支援センター 大研修室
テーマ:平成30年度 消費者のつどい
※生活情報プラザで、商品テストなどの展示パネルやDVDなどの消費者教育教材を展示
«特別講演»
演題 「消費税増税後のくらしについて」
講師 高橋 昌子氏
石川県金融広報アドバイザー
ファイナンシャルプランター・証券アナリスト
尿もれパッドの商品テスト
石川県生活研究グループ協議会:発表
1、目的
外出時、咳やくしゃみ、笑ったり重い荷物を持ったりした時など、急に腹部に力が加わった時におきる尿もれ(腹圧性尿失禁)、その突然起きる不安や心配事を取り除いてくれる、尿もれパッドのテレビコマーシャルを最近よく目にするようになりました。
尿もれパッドは紙おむつと違い、下着に貼りつけるもので、小さく手軽なためバッグに入れて持ち歩けるサイズです。テレビコマーシャルでは、お出かけなど活動的な姿が描かれています。
そこで生研グループでは、尿もれパッドについて様々な観点から調べることにしました。
2、テスト期間
平成30年8月~31年1月
3、テスト対象品
尿もれパッド3銘柄 計9種(金沢市内のドラッグストアで購入)
・ライフリー(さわやかパッド)20cc、120cc、120㏄(スリム薄型)
20cc(男性用)、120cc(男性用)
・アテント(さら肌パッド) 35cc、 130cc
・ポイズ(肌ケアパッド) 25cc、 120cc
4、テスト項目とテスト方法
① 表示を確認
② 寸法、重さの測定
③ 下着へのもれ
④ 吸収性(サラサラ感)
⑤ 臭い
⑥ 使用テスト(着脱のしやすさ、肌触り、肌トラブル、つけごこち「パッドのヨレ動き」)
⑦ 消臭・抗菌について、メーカーから聞き取り
■テストには、尿を模した人工尿を使いました。
人工尿A(もれ、吸収性のテスト):水1Lに食塩9gと尿素21gを溶かしたもの。
人工尿B(臭いのテスト):水1Lに食塩9gと尿素18.6gを溶かし、アンモニアを加えたもの。(アンモニア濃度:約750ppm)
■テストでは、尿もれ時に椅子に座っていることを想定して、1平方センチメートル当たり約25gの重さがかかるようなおもりを使いました。
■下着面へのもれのテスト方法
(1)重さをはかったろ紙の上に、尿もれパッドを置く。
(2)パッケージに表示された量の人工尿Aを、尿もれパッドの吸収部に静かに注ぐ。
(3)すみやかにアクリル板、おもりを順にのせ、1分間荷重をかける。
(4)おもり、アクリル板を外し、尿もれパッドをそっと剥がして、見た目のろ紙の濡れを確認する。
(5)ろ紙の重さを測定する。
■吸収性(サラサラ感)のテスト方法
*1分間荷重テスト
(1)尿もれパッドを置き、パッケージに表示された量の人工尿Aを尿もれパッドの吸収部に静かに注ぐ。
(2)すみやかにアクリル板、おもりを順にのせ、1分間荷重をかける。
(3)おもり、アクリル板を外し、吸収部を手で触りサラサラ感(湿り気)を評価する。
(4)(3)の尿もれパッドに、重さはかったろ紙、アクリル板、おもりを順にのせ、1分間荷重をかける。
(5)おもり、アクリル板、ろ紙を外して、見た目のろ紙の濡れを確認する。
(6)ろ紙の重さを測定する。
*10分間荷重テスト
上記テストの(2)の荷重をかける時間を10分間にして、同じ手順でテストを行う。
■臭いのテスト方法
(1)尿もれパッドを置き、パッケージに表示された量の人工尿Bを尿もれパッドの吸収部に静かに注ぐ。
(2)1時間放置した後、尿もれパッドの臭いを嗅ぐ。
消臭・抗菌について 各メーカーの回答
ユニチャーム株式会社
① 消臭について
ポリマー(高分子吸収材)に、更にアンモニアを消臭する物質を加えており、尿から発生する臭いを消臭する。
② 抗菌について
抗菌シートを搭載しており、抗菌加工部位の表面での細菌の増殖のみを抑制する。(全ての細菌の増殖を抑制するわけではない)
大王製紙株式会社
① ダブル消臭について
アンモニア臭と汗臭の2種類を消臭するため緑茶成分中のポリフェノールと、尿の臭いを吸収するポリマー(高分子吸収材)のそれぞれが2種類の臭い成分を包み込んで外への発散を防ぐ。
日本製紙クレシア株式会社
① 消臭について
機能性セルロースナノファイバー消臭シートを使っている。これは金属イオンの吸着性がさらに高まり消臭効果が大きい。
表示について 一般社団法人日本衛生材料工業連合会の回答
衛生材料関連の業界団体で、表示内容については関係する省庁の助言を受け、自主基準を定めている。(衛生材料:紙おむつの他、ガーゼ、ナプキン、絆創膏、マスク、ウエットティッシュなど)
5、まとめ
尿もれパッドで吸収しきれなかった尿が下着にもれたり、濡れた感じがしたりしないかという内容でテストをしました。テストにあたっては、パッケージに表示されている容量の限度いっぱいの人工尿を、一度に尿もれパッドにしみ込ませて、椅子に座っている時にかかる圧力と同じになるようにおもりをのせて行いました。
また、アンモニアを加えた人工尿をしみ込ませて、時間が経った時に臭いがするかどうかテストをしました。
テストの結果、いずれの商品も概ね下着への尿もれや臭いはなく、また時間が経つほど水分が吸収されていくという結果でした。腹圧性尿失禁で漏れる尿の量に対して適切なサイズの尿もれパッドを使用すれば、下着への漏れや肌への影響はないと思われます。
尿もれパッドを使用するテストでは、本体への表示で「前」「後ろ」がわかりにくい商品がありました。また、粘着テープの接着力や長さが短いことなどから着用中にパッドが折れ曲がったり、ガサガサしたりなど、不快に感じることがありました。7、8時間程度の着用で、パッドを付けた直後は違和感がありましたが、しばらくすると慣れて感じなくなったという意見もありました。着用による肌トラブルは 起きませんでした。
尿もれパッドは、外出時などに突発的に起きる尿もれで不快な思いや恥ずかしさを感じることがないよう、下着の汚れや臭いなどを防いでくれます。手軽に利用できる便利な商品であり、各メーカーには、表示がわかりやすく、安心安全で快適な商品づくりを望みたいと思います。
※ 評価・要望
1、パッドの吸収剤は「前」「後ろ」均等なのか知りたい
2、パッドは着用中に両側の側面が内側に折れ曲がり細くなってきた。幅を広くしてほしい。
3、パッドへの表示をわかりやすいものに改善してほしい。
4、パッドの長さ、幅ともに、今のサイズより長く、広くしてほしい。
5、パッドの接着テープの力が強く、下着からの取り外しに手間取るため、適切な力加減に改善してほしい。
6、男性パッドも圧迫感のないようなスリムタイプを作ってほしい。
7、形状が違うバリエーションのパッドを作ってほしい。
場 所:石川県消費生活支援センター 大研修室
テーマ:平成30年度 消費者のつどい
※生活情報プラザで、商品テストなどの展示パネルやDVDなどの消費者教育教材を展示
«特別講演»
演題 「消費税増税後のくらしについて」
講師 高橋 昌子氏
石川県金融広報アドバイザー
ファイナンシャルプランター・証券アナリスト
尿もれパッドの商品テスト
石川県生活研究グループ協議会:発表
1、目的
外出時、咳やくしゃみ、笑ったり重い荷物を持ったりした時など、急に腹部に力が加わった時におきる尿もれ(腹圧性尿失禁)、その突然起きる不安や心配事を取り除いてくれる、尿もれパッドのテレビコマーシャルを最近よく目にするようになりました。
尿もれパッドは紙おむつと違い、下着に貼りつけるもので、小さく手軽なためバッグに入れて持ち歩けるサイズです。テレビコマーシャルでは、お出かけなど活動的な姿が描かれています。
そこで生研グループでは、尿もれパッドについて様々な観点から調べることにしました。
2、テスト期間
平成30年8月~31年1月
3、テスト対象品
尿もれパッド3銘柄 計9種(金沢市内のドラッグストアで購入)
・ライフリー(さわやかパッド)20cc、120cc、120㏄(スリム薄型)
20cc(男性用)、120cc(男性用)
・アテント(さら肌パッド) 35cc、 130cc
・ポイズ(肌ケアパッド) 25cc、 120cc
4、テスト項目とテスト方法
① 表示を確認
② 寸法、重さの測定
③ 下着へのもれ
④ 吸収性(サラサラ感)
⑤ 臭い
⑥ 使用テスト(着脱のしやすさ、肌触り、肌トラブル、つけごこち「パッドのヨレ動き」)
⑦ 消臭・抗菌について、メーカーから聞き取り
■テストには、尿を模した人工尿を使いました。
人工尿A(もれ、吸収性のテスト):水1Lに食塩9gと尿素21gを溶かしたもの。
人工尿B(臭いのテスト):水1Lに食塩9gと尿素18.6gを溶かし、アンモニアを加えたもの。(アンモニア濃度:約750ppm)
■テストでは、尿もれ時に椅子に座っていることを想定して、1平方センチメートル当たり約25gの重さがかかるようなおもりを使いました。
■下着面へのもれのテスト方法
(1)重さをはかったろ紙の上に、尿もれパッドを置く。
(2)パッケージに表示された量の人工尿Aを、尿もれパッドの吸収部に静かに注ぐ。
(3)すみやかにアクリル板、おもりを順にのせ、1分間荷重をかける。
(4)おもり、アクリル板を外し、尿もれパッドをそっと剥がして、見た目のろ紙の濡れを確認する。
(5)ろ紙の重さを測定する。
■吸収性(サラサラ感)のテスト方法
*1分間荷重テスト
(1)尿もれパッドを置き、パッケージに表示された量の人工尿Aを尿もれパッドの吸収部に静かに注ぐ。
(2)すみやかにアクリル板、おもりを順にのせ、1分間荷重をかける。
(3)おもり、アクリル板を外し、吸収部を手で触りサラサラ感(湿り気)を評価する。
(4)(3)の尿もれパッドに、重さはかったろ紙、アクリル板、おもりを順にのせ、1分間荷重をかける。
(5)おもり、アクリル板、ろ紙を外して、見た目のろ紙の濡れを確認する。
(6)ろ紙の重さを測定する。
*10分間荷重テスト
上記テストの(2)の荷重をかける時間を10分間にして、同じ手順でテストを行う。
■臭いのテスト方法
(1)尿もれパッドを置き、パッケージに表示された量の人工尿Bを尿もれパッドの吸収部に静かに注ぐ。
(2)1時間放置した後、尿もれパッドの臭いを嗅ぐ。
消臭・抗菌について 各メーカーの回答
ユニチャーム株式会社
① 消臭について
ポリマー(高分子吸収材)に、更にアンモニアを消臭する物質を加えており、尿から発生する臭いを消臭する。
② 抗菌について
抗菌シートを搭載しており、抗菌加工部位の表面での細菌の増殖のみを抑制する。(全ての細菌の増殖を抑制するわけではない)
大王製紙株式会社
① ダブル消臭について
アンモニア臭と汗臭の2種類を消臭するため緑茶成分中のポリフェノールと、尿の臭いを吸収するポリマー(高分子吸収材)のそれぞれが2種類の臭い成分を包み込んで外への発散を防ぐ。
日本製紙クレシア株式会社
① 消臭について
機能性セルロースナノファイバー消臭シートを使っている。これは金属イオンの吸着性がさらに高まり消臭効果が大きい。
表示について 一般社団法人日本衛生材料工業連合会の回答
衛生材料関連の業界団体で、表示内容については関係する省庁の助言を受け、自主基準を定めている。(衛生材料:紙おむつの他、ガーゼ、ナプキン、絆創膏、マスク、ウエットティッシュなど)
5、まとめ
尿もれパッドで吸収しきれなかった尿が下着にもれたり、濡れた感じがしたりしないかという内容でテストをしました。テストにあたっては、パッケージに表示されている容量の限度いっぱいの人工尿を、一度に尿もれパッドにしみ込ませて、椅子に座っている時にかかる圧力と同じになるようにおもりをのせて行いました。
また、アンモニアを加えた人工尿をしみ込ませて、時間が経った時に臭いがするかどうかテストをしました。
テストの結果、いずれの商品も概ね下着への尿もれや臭いはなく、また時間が経つほど水分が吸収されていくという結果でした。腹圧性尿失禁で漏れる尿の量に対して適切なサイズの尿もれパッドを使用すれば、下着への漏れや肌への影響はないと思われます。
尿もれパッドを使用するテストでは、本体への表示で「前」「後ろ」がわかりにくい商品がありました。また、粘着テープの接着力や長さが短いことなどから着用中にパッドが折れ曲がったり、ガサガサしたりなど、不快に感じることがありました。7、8時間程度の着用で、パッドを付けた直後は違和感がありましたが、しばらくすると慣れて感じなくなったという意見もありました。着用による肌トラブルは 起きませんでした。
尿もれパッドは、外出時などに突発的に起きる尿もれで不快な思いや恥ずかしさを感じることがないよう、下着の汚れや臭いなどを防いでくれます。手軽に利用できる便利な商品であり、各メーカーには、表示がわかりやすく、安心安全で快適な商品づくりを望みたいと思います。
※ 評価・要望
1、パッドの吸収剤は「前」「後ろ」均等なのか知りたい
2、パッドは着用中に両側の側面が内側に折れ曲がり細くなってきた。幅を広くしてほしい。
3、パッドへの表示をわかりやすいものに改善してほしい。
4、パッドの長さ、幅ともに、今のサイズより長く、広くしてほしい。
5、パッドの接着テープの力が強く、下着からの取り外しに手間取るため、適切な力加減に改善してほしい。
6、男性パッドも圧迫感のないようなスリムタイプを作ってほしい。
7、形状が違うバリエーションのパッドを作ってほしい。
by seikengroup
| 2019-04-05 18:54